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iTeachersが集結!「教育ICT、成功への分岐点」を語る

2014年5月 2日

4月27日、五反田の学研ビルで、「iTeachersカンファレンス 2014 Spring」が開催されました。

iTeachers(アイ・ティーチャーズ)とは、"教育ICTを通じて「新しい学び」を提案する教育者チーム"。2013年4月に、小中高等学校や大学、専門学校や塾などで、ICT(Information and Communications Technology)を活用して新しい形の授業を実践している9人の先生たちが結成したグループです。

今回のイベントでは「教育ICT、成功への分岐点」をテーマに、iTeachersたちがそれぞれ自身の取り組みや今後の展望などについてプレゼンテーション。5時間近い長丁場にもかかわらず、満席の会場は終始熱気にあふれていました。カンファレンスに集結したのは、以下の先生たちです。

・永野直先生(千葉県立袖ヶ浦高等学校)
・栗谷幸助先生(デジタルハリウッド/デジタルハリウッド大学)
・片山敏郎先生(新潟大学教育学部附属新潟小学校)
・小酒井正和先生(玉川大学)
・岩居弘樹先生(大阪大学)
・小池幸司先生(俊英館/教育ICTコンサルタント)
・金子暁先生(広尾学園中学校・高等学校)
・杉本真樹先生(神戸大学/医師・医学博士)

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MC担当は、俊英館の小池先生と、中学生のとき「少年の主張全国大会」で内閣総理大臣賞を受賞し、TEDx Osakaでも講演した県立千葉高等学校2年生の山本恭輔さん。最後には全員が参加し、トークセッションも行われました。


■デジタルデバイスを活用して、クリエイティブな思考力を磨く

まず、多くの先生たちが指摘したのが、クリエイティブな思考力、すなわち新しい価値を創造する力を育てることの大切さと、そのためにICTが果たす重要な役割についてです。

千葉県立袖ヶ浦高等学校情報コミュニケーション科の「課題研究」という授業では、生徒が自らテーマを決めて研究を行い、最終的に論文にまとめます。生徒たちは、自主的にiPadを使って各々の課題に取り組み、創造性豊かな解決方法を提案しました。同校の永野先生は、ICT教育の次なるフェーズでは、生徒たちがデジタルデバイスを新たな価値を創造するツールとして使いこなせるようになることが必要だと話しました。

広尾学園の金子先生も、今後はすべての教育活動の土台にICTを取り込み、今までやってきたことにICTを組み合わせて、創造することが重要と指摘。神戸大学の杉本先生は、今伸ばさなくてはならないのは、IQ(知能指数)やEQ(心の知能指数)よりも、CQ(創造指数)だとして、今までやってきたことに新しい価値をつけ、さらにそれをソーシャルメディアで発信して共感を得ることが大事だと説いていました。


■ ICTで教育の形が変わる

ICTの活用で、従来の教育活動の形が変化したことも、多くの先生が注目している点です。

玉川大学の小酒井先生は、教育者の役割は学生がいろいろ考えてくれるように演出することだとし、教員もプレーヤーとなって学生と共に学ぶことの大切さを強調。神戸大学の杉本先生は、ICT教育では、教える、教わるというボーダーがなくなっている点を指摘しました。

俊英館の小池先生は、iPadを使った小学生の授業で、子どもたちが自分で学び、問題を解決するようになり、チームで学んだり、プレゼンを体験したりする機会が増えたことが、思考力のアップにつながった例を紹介。iPadは「教具」ではなく、「教えない」ための道具だと話しました。

ICT利用で生まれるこのような新しい学びは、子どもたち、学生たちの創造力、思考力育成に、確実に役立っているようです。


■ デジタルリテラシーは、経験しながら身につける

教育ICT活用は、当然インターネットやSNSの利用も伴います。そのことで、多くの親たちが不安を感じているのは、プライバシーの漏えいや、ネット犯罪、いじめなどの問題でしょう。

これに関して、新潟大学教育学部附属新潟小の片山先生は、情報を使いこなす資質や能力は、経験を通じて身に付けるべきという意見です。もちろん、「保護」することは大切。その上で、経験させて、間違った使い方をしたら指摘して直させ、コミュニケーションを通じてネットの光と影の両方を学ぶことが大切だ、と。どんなに労力がかかっても、大人たちが子どもたちとの間に信頼関係を築き、ともに学んでいけば、子どもたちは正しいネットリテラシーを身に付けられる、という主張は、ICTを積極的に活用してきた片山先生だからこその説得力がありました。


■ これからのICT教育とは?

最後のトークセッションでは、ICT導入によるマイナス面などについても議論。前述のネット利用のリスク以外にも、かんたんに多くの情報を得られることで、考えることをしなくなったり、情報の価値がわからないまま知ったつもりになってしまったりすることなどの問題点が挙げられました。

また、これからのICT教育で必要なのは、ICTがクリエイティビティを育成する取り組みに使われているか、コミュニケーションの活性化のために機能しているか、といったことを現場の教員が常に確認していくべきだと。そして、5年後には、デジタルデバイスは当たり前のツールとなって、「ICT教育」ということばがなくなるのが理想、という意見で今回のカンファレンスは締めくくられました。

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保護者の皆さんの中には、子どもたちが通う学校で、電子黒板や教科書、タブレットの導入など、教育ICTの利用が推進されてはいるものの、本当に効果が上がっているのか、実際には何をやっているのか、ネット利用に危険はないのか、よくわからないと感じている方も多いかもしれません。 「iTeachersカンファレンス 2014 Spring」では、そんな疑問に対する、現場でICTを活用している先生たちからの前向きな答えを、たくさん見つけることができました。

今回も、教員だけでなくさまざまな人たちが客席を埋めていましたが、iTeachersでは今後も、幅広い人々を対象にしたさまざまなイベントを計画しているそうです。みなさんも、機会があればぜひ参加してみてはいかがでしょう。これからも、iTeachersの動きから目が離せません。

(いしださなえ)

iTeachers 公式サイト
http://www.iteachers.jp/

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